【Column】離乳食への想い。

【Column】離乳食への想い。

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保育園から栄養士のキャリアをスタートした私にとって、離乳食は最初にぶつかった壁でした。
そんな離乳食が今は大好き。その想いを今日は書きたいと思います。

保育園栄養士として

栄養士として大学を卒業した年の4月1日から調理現場に立ったものの、経験ゼロ、知識は授業のみ。
以前のブログで「叩き上げのスキル」と書きましたが、私の就職した会社は机上研修などはなく、社会人1日目から現場でした。私は運良く大きな園への配属だったので先輩がいましたが、配属園によってはスタートから調理責任者になります。
(研修は春休みに数日、現場へ入らせてもらっていました。)

毎日の業務をこなしながら、自分に足りない知識を勉強する日々。
離乳食、アレルギー食、乳児クラス分の給食と幼児クラス分の給食では切り方や味付けも変わります。
アレルギー児さんが多ければそれだけ食事の種類も増えます。
(例えばハンバーグ1つでも、つなぎの卵抜き、牛乳抜き、パン粉抜き、卵・牛乳抜き、卵・牛乳・パン粉抜き、普通食など何種類も作ります。豚肉→鶏肉などの変更があることも…)

離乳食は主に栄養士が担当していましたが、学校の授業では離乳食なんて実習が1回だけ。
そんなのほとんど役に立ちません。もちろん子育ての経験もないので実践もゼロ。
なので、授乳離乳の支援ガイドを読み込み、育児書で実践の知識につなげて、毎日調理。
時間があれば保育室へ行って、食べる様子を見せてもらう。(こんなに保育室に来る栄養士さん初めてって笑われるほど行っていました。笑)
この繰り返しで少しずつ覚えながら、毎日時間と戦い、必死にこなしていました。

そう、こなしていたんです。
「心を込めて作る」「おいしいと喜んでもらいたい」そんなふうに感じられる余裕はゼロでした。

調理現場を離れてみたら、離乳食ってもっと楽しかった

転職後は、作業としてこなしていた調理からみせる料理に変わりました。
離乳食も実際に子育てをしているママに向けて、わかりやすい知識と作ってみたい、教わってみたいと思ってもらえるような、華やかな見た目を叶える商品作りです。
離乳食の仕事をするたびに、もっとこうしてあげたかったなと保育園での調理を振り返るようになりました。

そして、独立後は日本だけでなく、中国のママに向けた離乳食のレシピ動画や法人さまの離乳食レシピなどさまざまな形で離乳食に関わってきました。
そして、実践。

離乳食が大好きだと気づかせてくれた娘

娘の離乳食が始まります。
今まできっと誰よりも仕事でたくさん作ってきた離乳食が、ついに日常になりました。

ステイホームが重なって、時間もたっぷり取れる。
そんな中でいろいろ試したり、娘の反応を見たりしながら、今まで以上に丁寧に向き合うことができました。
仕事とは違う、実際に毎日つくる大変さを味わい、工夫できるポイントを見つけたり、見た目にこだわってみたり。

Instagramにも離乳食の記録がたくさんアップされているのを見つけて、私もアップしてみました。
だんだんママの輪が広がって、離乳食への悩みを共感したり、アドバイスし合ったり。
やっぱり、経験はどんなに学ぶよりも仕事として作るよりも強いです。

そして、レシピをアップしたら「ぜんぜん食べなかったのに、まなみさんのレシピで作ったら本当によく食べてくれるようになりました」「大人が食べてもおいしい」など、私にとっても嬉しいメッセージが届くようになりました。

カタチにしたい


保育園栄養士として、毎日たくさん作った離乳食。
企業栄養士として商品化した離乳食。
日本との違いを知ることができた、海外に向けた離乳食。
母として毎日欠かさなかった、娘への離乳食。

いろいろな角度から離乳食をみて、大好きになった今。
本当に一瞬しかない離乳食の期間を、一人でも多くのママに楽しんでもらえるように、私の想いをカタチにしたいと思うようになりました。

 
そこで、NadiaやInstagramを通した、離乳食や幼児食レシピの発信を始めました。
今までなかなか続かなかったSNSやレシピ投稿。
想い1つで続けられるんだなぁと思う今日この頃です。

作ったレシピは娘が最高の味見係になっています。
だんだん喃語が言葉に変化する時期。本当においしかったものは、ひと口食べると、手で口をおさえて「んん〜おいし〜」と言ってくれます。(母にはそう聞こえる。笑)

娘がニコニコしながらおいしいって食べてくれると私も嬉しい。
料理は作った人も食べる人も幸せになれる。それは離乳食でも同じ…んんん、我が子に作る食事は格別だと思います。
これからもたくさんのママが楽しく子どもの食と向き合える、そのきっかけになれるようなレシピを伝えていきたいです。

管理栄養士・フードコーディネーター
植草 真奈美